エデンの園に、大事な木は何本?
2本。
1本は知恵の木、1本は命の木。
神様が「だめだ」って言ってるのに、アダムとエヴァは、食べちゃった。
知恵の木の実を。
その途端、何が起こったか?
「ある」と「ない」の区別が付く人になっちゃった。
アダムにはおちんちんが「ある」。エヴァには「ない」。
そして二人には衣服が「ない」。
だから、あわてて木の葉で体を隠した。
神様は二人のやったことに気付いちゃった。
「叱られる」と「叱られない」の区別が付いている様子を見てね。
もう~、あれほど言ったのに。
この上あの二人が命の木の実も食べたらどうなるか。
気付いてしまうじゃないか。
「ある」と「ない」の違いはないことに。
「1」と「0」の違いはないことに。
「あれ」と「これ」の違いはないことに。
「アダム」と「エヴァ」の違いはないことに。
「生きている」と「死んでいる」の違いはないことに。
両方の木の実を食べて、両方を会得してしまったら、神様になってしまう。
これはたいへん。
神様はあわてて二人を追い出した。
エデンの外へ。
そしてエデンの東の門を閉ざし、二人の天使ケルビムに守らせた。
燃える剣を振り回させて、アダムとエヴァが入って来ないようにした。
でも、本当は、アダムとエヴァは、命の木からも食べていた。
なぜって?
命の木は言うのさ。
「食べた」と「食べてない」の違いはないよ、って。
だから、アダムとエヴァとその子らは、ときどき神様のように振る舞う。
ある人たちは、月曜日から金曜日まで、食べものの「ある」と「ない」、お金の「ある」と「ない」を考えて暮らしながら、週末にはそのことを忘れて、ひたすら神様のこと、エデンのことを考える。
ある人たちは、食べものの「ある」と「ない」、お金の「ある」と「ない」を考えて暮らしながら、その中に神様を見る、エデンを見る。
アダムとエヴァは、やがて死んじゃった。
知恵の木は「死んだよ」と言った。
命の木は「そうかね」とも言わず黙っていた。
今もエデンの園の東の門は閉じている。
でも、命の木は言うのさ。
エデンの園の「内」と「外」の違いはないよ、って。
命の木の隣で、知恵の木はあいかわらず呟いている。
「おらぁ、命の木じゃねぇ」って。
(deeply inspired by Joseph Campbell)
※Facebookのnoteに収めていたものですが、note廃止のためこちらに移しました。